今日は、令和3年度 第39問について解説します。
特定転貸事業者が特定賃貸借契約の条件について広告をする際に禁止される行為に当たるものに関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 実際の周辺相場について調査していなかったが、「周辺相場より高い家賃で借り上げ」と表示した。
イ 大規模修繕積立金として月々の家賃から一定額を差し引く一方、日常修繕の費用負担は賃貸人に求めない予定であったため、「修繕費負担なし」と表示した。
ウ 契約を解除する場合には、月額家賃の数か月を支払う必要があるにもかかわらず、その旨を記載せずに、「いつでも借り上げ契約は解除できます」と表示した。
エ 借地借家法上の賃料減額請求が可能であるにもかかわらず、その旨を表示せず、「10年家賃保証」と表示した。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
解説
誇大広告等の禁止に関する問題です。
この問題で少し注意するべきなのは、「禁止されている行為」として「正しい」選択肢を選ぶものとなっていますので、「行為として誤っている」ことが「正しい選択肢」であるということです。
他の問題の感覚と逆なので、引っかからないように注意して、選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
実際の周辺相場について調査していなかったが、「周辺相場より高い家賃で借り上げ」と表示した。
〇適切です。(禁止される行為です)
誇大広告をしてはならない事項や広告表示の留意事項について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
特定転貸事業者が貸主に支払うべき家賃の額、支払期日、支払方法等の賃貸の条件とその変更に関しては、誇大広告をしてはならない事項です。
実際には調査等を行っていないにもかかわらず、根拠のない算出基準で算出した家賃をもとにして「周辺相場より高い家賃で借上げ」と表示することは誇大広告等に該当します。
選択肢の説明は禁止される行為ですので、この選択肢は適切です。
選択肢 イ
大規模修繕積立金として月々の家賃から一定額を差し引く一方、日常修繕の費用負担は賃貸人に求めない予定であったため、「修繕費負担なし」と表示した。
〇適切です。(禁止される行為です)
誇大広告をしてはならない事項や広告表示の留意事項について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担については、誇大広告をしてはならない事項です。
月々の家賃から大規模修繕積立金として差し引いており、実質は大規模修繕の費用は貸主が負担するにもかかわらず、「修繕費用なし」と表示することは誇大広告等に該当します。
選択肢の説明は禁止される行為ですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ウ
契約を解除する場合には、月額家賃の数か月を支払う必要があるにもかかわらず、その旨を記載せずに、「いつでも借り上げ契約は解除できます」と表示した。
〇適切です。(禁止される行為です)
誇大広告をしてはならない事項や広告表示の留意事項について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
特定賃貸借契約の解除に関する事項は、誇大広告をしてはならない事項です。
実際には契約を解除する際に、月額家賃の数か月分を支払う必要があるにもかかわらずその旨を記載しないで「いつでも借上げ契約は解除できます」と表示することは誇大広告等に該当します。
選択肢の説明は禁止される行為ですので、この選択肢は適切です。
また、借地借家法第28条により、貸主から解約する場合には正当事由が必要となりますので、その旨も記載しなければならないということも、あわせておさえていただければと思います。
選択肢 エ
借地借家法上の賃料減額請求が可能であるにもかかわらず、その旨を表示せず、「10年家賃保証」と表示した。
〇適切です。(禁止される行為です)
誇大広告をしてはならない事項や広告表示の留意事項について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
特定転貸事業者が貸主に支払うべき家賃の額、支払期日、支払方法等の賃貸の条件とその変更に関しては、誇大広告をしてはならない事項です。
借地借家法第32条(賃料増減請求権)の規定により減額されることがある旨を記載せずに「10年家賃保証」と表示することは誇大広告等に該当します。
選択肢の説明は禁止される行為ですので、この選択肢は適切です。
また、「家賃保証」と表示する場合には、文字の隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合はその旨を書く必要があることを、あわせておさえていただければと思います。
以上から、正しい(禁止される行為)選択肢はア、イ、ウ、エの4つ全てですので、正解は選択肢④となります。
ぜひ以下の関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
★関連解説★
好評発売中の「一発合格まとめシート」は、ここから立ち読みできますので、ぜひ試してみてくださいね。
2024年度版 一発合格まとめシート
好評発売中!